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ENDER LILIES 感想  「意図したシンプルさ」によって深く印象が残る作品

ENDER LILIESをプレイしたので、感想を書きたいと思います。

ENDER LILIESという作品はBinary Haze Interactive(2020年設立)という会社の作品で、インディーズゲームという枠組みが正しいかどうかはわかりませんが、大手メーカーの作品では無い事は確かです。
自分の中でも、話題になっていましたが、製品の価格も比較的高く無い(2728円[税込])為、2Dアクションのシンプルなゲームのイメージを最初持っていました。

しかし、実際にプレイしてみると、とても考えられた「シンプルさ」を持ち合わせており、逆にその「シンプルさ」がとても強く印象に残る作品になりました。
幾つか特徴がありましたので、自分が感じた事を書いていきたいと思います。

主旋律がピアノのBGM

この作品、プレイしてて最初に感じたのは心地の良いBGMです。
ピアノを主体とした美しいメロディーが作品の中に非常にマッチしており、ゲームをプレイした後でも頭の中にメロディーが流れていました。

ただ、よくよく聴き返してみると、主旋律はほぼピアノになっており、他の音は「無い」もしくは、本当に小さい音になっています。

近年のゲームでは、大容量が可能になった為、オーケストラを取り込んだり、バンド演奏、歌を取り込んだり、非常に豪華なBGMをゲーム中で楽しむ事ができます。

ただ、一度に音を発する楽器が多い為、ゲームに集中していると、雰囲気にはマッチしているのですが、どんなメロディーだったかを覚えている事は少ないです(自分が歳をとったのもありますが)。

この作品は音をピアノに限定している事で、プレーヤーに届く音は少ないですが、その分、ピアノのメロディーが頭にすんなり入ってきます。

プレイしている時はもちろん、プレイ後も頭にメロディーがずっと流れている状態が続きます。

もちろん、メロディーが素晴らしいから覚えている部分もあると思いますが、敢えて音を限定している事で、メロディーが際立って印象に残っていると思います。

主人公と一緒に行動する仲間達

黒を基調にしたグラフィック、そして雨

グラフィックに関しても、非常に美しいグラフィックだと感じました。
もちろん、3D 作品では無く2D作品なので平面的なグラフィックになるのですが、とても綺麗な印象を持ちました。

このグラフィックに関しても、基本的には黒をベースにどの場所も表現されています。
その中に主人公のキャラクターが白色でとても際立って存在しています。

エリアや場所が異なった場合も、黒を基調とした中で、赤色の花畑や、紫色の花が咲いた木が場面を彩っています。

これも、画面上で表現する色の数を限定している事で、より特定の色が目立つ形になり、綺麗なグラフィックの印象を与えているのだと思います。

その他にも、雨が常に降っている事や、水や滝等の水の表現、自然を入れている事も、プレイをしていて、印象に残りました。

恐らく他の自然の現象等も含めることは可能と思いますが、敢えて印象を残すために、「雨」に限定しているのだと思います。

この作品のイメージとしては、「雨」の印象がとても強く残っています。
晴れたシチュエーションや、雪、嵐等のシチュエーションが表現されていたら、逆に作品としてのイメージは残らなかったようにも感じました。

©BINARY HAZE INTERACTIVE Inc.

黒を基調としている中で、紫色の木が非常に印象に残ります

アクションにおける選択肢について

この作品について、難易度は高いと感じました。
ただし、その高い難易度を感じさせないような作りになっていると感じました。

特に、普段アクションゲームをやらないプレーヤーにとっても、高難易度にもかかわらず、非常にプレイをしやすい作りになっている感じました。

まず、プレーヤーが死んだことによって失う物が何一つ無い事です。
もちろん、他のゲームでも失う物が無いゲームは多いですが、この作品においては特に徹底していると思います。

他の作品であるような、消耗品(回復アイテム、弾、補助アイテム)のような消耗品は一切無いです。
よって、ボス戦になった場合、消耗品という存在が無い為、今ある状態がベストな状態の為、全力投球で戦う事ができます。
そして、負けた事によって失う物が無い為、何度も挑戦する事が出来ます。

もう一つは、スキルが回数制な所も良くできていると感じました。
この作品はボスを倒すと、通常攻撃以外にスキルという形で特殊能力を入手する事が出来るのですが、そのスキルが他の作品のようにMPという形ではなく、回数制になっています。

MPという形では、恐らくスキルによって使用量が異なるため、頭のなかでMP消費の配分を考えながら敵と戦う必要がありますが、回数制の場合は他のスキルとの関係性を考える必要が無い為、戦いに集中しやすい状態になります。

その他にも、戦闘中にスキルの変更が出来ない、全て1つのボタンで操作が出来る等の細かい配慮があることで、更に戦闘における選択肢を減らしています。

選択肢を極力少なくする事によって、戦いに集中しやすい環境が出来ます。
その中で、例え難易度が高くても、敵の動きに集中する事が出来る事で、プレーヤーも徐々に上手くなっていき、クリアが出来るようになっていきます。
また、選択肢が少ない事で、ミスした理由わかりやすく、自分で納得する事が出来ます。

ボスとの戦いに集中出来るように配慮されてます

まとめ、感想

この作品の根幹となる部分はアクションゲームとしての完成度が非常に高い事です。
そして、そのアクションゲームの部分により集中出来るような配慮が多く散りばめられています。

ゲームをプレイするまでは、「インディーズゲームなのでシンプルなゲームなんだろうなー」というイメージを持っていたのですが、プレイをし終わった感想としては、すべて「意図したシンプルさ」だったという事に気付かされました。

そして、アクションだけでは無く、BGM、グラフィック、ストーリー(ここも色々書きたい)も全てシンプルにする事で、逆に強調したい箇所が鮮明になり、プレーヤーの記憶に残りました。

大型作品のように色々とてんこ盛りのゲームも勿論楽しいですが、この作品のように「意図したシンプルさ」の作品の存在はとても貴重でとても勉強させられました。

未プレイの方は是非、このシンプルさを楽しみながらプレイしてもらえると嬉しいです。
既にプレイ済みの方は、改めて「意図したシンプルさ」を意識してプレイしてもらえると、新しい発見があると思います。

©BINARY HAZE INTERACTIVE Inc.

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