PS5の足音が聞こえてくる中、PS4最後の大型タイトルと言っても過言ではない作品、Ghost of Tsushimaのレビューを書きます。
数年前にレッド・デッド・リデンプョンという西部劇のオープンワールドゲームをやった時に、
「素晴らしい作品!このオープンワールドの雰囲気で、時代劇をやって欲しい」と、
当時素直に感じたのですが、このGhost of Tsushimaはまさにその願いを叶えてくれた作品でした。
「サムライというコンテンツをオープンワールドに当てはめると、こんなにも面白い作品が出来るんだ」と、素直に感じる事が出来ました。
私が面白いと感じた事を順に書いていきたいと思います。
目次
日本の雰囲気を表現する事に特化したグラフィック
Ghost of Tsushimaのグラフィックに関しては、本当に美しいグラフィックです。
素直にそう感じる事が出来ます。
ただ、単純に美しいだけではなく、この作品ならではの表現がいくつかありました。
日本の雰囲気を出す事に特化した色彩
日本特有の建物や、自然(竹林、川、海等)を詳細なオブジェクトで表現するだけでも、
日本的な雰囲気は出せると思いますが、この作品は特に色彩に力を入れているように感じます。
空は碧く、紅葉は紅く、森は翠、という表現しか出来ないのですが、とにかく色の使い方が、
とてもメリハリが効いていて、より色鮮やかに表現されており、
リアリティのある世界ではあるのですが、どこかしら幻想的なイメージも持っています。
色合いがとても美しいのが原因と思いますが、どこの場面を切り取っても、
映画のワンシーンのような絵が撮れます。
フォトモードが有り、細かい設定は可能なのですが、特に設定を変更や加工をする必要もなく、
アングルを変更するだけで、美しい写真を撮ることができます。
色々なゲームのフォトモードで写真を撮りましたが、この作品が群を抜いて写真を撮ったと思います。
風を最大限に利用
「風」という物を最大限にグラフィックに利用しています。
落ち葉や、草の揺らぎの表現に関して、風を利用する事によって、ただのオブジェの集まりではない、
生きた世界を表現しています。
キャラクターが静止して動いていない場面の場合は、他のゲームでは世界が停止しているように見えますが、このゲームでは風の表現がとても自然で且つ有効的に利用されている事で、
止まっている状態でも落ち葉が飛んで、草が揺らぎ、風のささやきが聞こえ、本当に生きている世界を表現しています。
もう一つは、次の行き先を風に導かせる事で、風景やキャラクターの動きに集中しながら、
目的地にたどり着く事ができます。
これはもう、一つの発明と言っても良いのではないかと思うぐらい素晴らしいです。
オープンワールドゲームの宿命で、目的地を表示する場合に、画面上に機械的なアイコンが表示されるのが、標準的な仕様なのですが、このアイコンがある事がいかにもゲームという感じを醸し出していて、没入感をそがれる要因にもなっています。
このゲームは極力不要なUIを省いている事で、没入感をそがれる事なくゲームに集中出来ます。
オープンワールドゲームでよくあるのが、目的地を設定し、後は画面の右下に表示されているマップを見ながらプレイする事も多く、景色を楽しみながら移動するケースが減っていたのですが、
このゲームはキャラクターと道、風景のみを見ながら移動が出来るので、さらに美しい景色に没頭する事ができます。
サムライの生き様を描いたストーリーとキャラクター達
当たり前の事なのですが、この作品、面白かったのが本当にサムライのストーリーだった事です。
日本を舞台にしたオープンワールドゲームという事で、敵と味方に別れて戦うだけのストーリーでも、
全く問題なく楽しめる事は出来たと思います。
ただ、この作品はストーリー、キャラクター含めてサムライとはどういう物かというテーマに真っ向から向き合った作品でした。
主人公の境井仁は蒙古に襲来され、戦いに敗れた所からスタートします。
最初はサムライらしく正々堂々とした戦い方で蒙古と戦うのですが、それだけでは勝てないと、
限界に気が付き、真っ向勝負とはかけ離れた、手段を選ばない戦い方(誉れ無き戦い方)を選んで行くことになります。
主人公の「境井仁」を含めて、誉れ無き戦い方については、葛藤が生まれて行きます。
この葛藤がサムライの本来あるべき姿は何なのかと、プレーヤー含めて考えさせられる話になっており、どんどんストーリーに引き込まれていきます。
主人公以外のキャラクターもとても個性的で、一癖も二癖もあるキャラクターが多数出てきます。
全て日本人特有の考えを持ったキャラクターとなっており、共感も持てるし、関わりたく無いような、
癖も持ち合わせています。
完成されたオープンワールドのフォーマットを活用
ゲームの土台となる部分は、他のオープンワールドゲームのフォーマットが活用されています。
基本的には、各フィールドに敵がランダムで配置されており、武器を作る素材や、
町、敵の拠点等が配置されています。
ストーリーに関しても、メインストーリーとサブストーリーがバランス良く配置されています。
ここに関しては、オリジナリティは少なめですが、全く問題ないと思います。
オープンワールドの歴史は長く、現在は非常に洗練されたシステムになってきているので、
そのフォーマットにのるのは非常に優れた判断だと思います。
オリジナリティの部分は、サムライというコンテンツに任せておけば良く、
他の部分は優れたフォーマットに合わせる事で、ゲーム自体も安心出来るし、プレーヤーも混乱しないのではと思います。
まとめ 感想
最後にこのゲームで感じた事を書きたいと思います。
このゲームが海外製のゲームだと言うこと
本当に驚くべきはこのゲームが日本製のゲームでは無く、海外製のゲームだと言うことです。
日本をテーマにしたゲームだから当然、日本でこのようなゲームがいつかは出るのだと思っていたのですが、海外のゲームメーカーが出しました。
また、日本を中途半端に表現したゲームでは無く、日本の事をよく研究して、日本人も納得、いやそれ以上に日本人が教わるレベルで作品を提供してくれました。
ストーリーの所でも書きましたが、内容もサムライをテーマにしている事も驚きました。
日本人のアイデンティティの部分でもあり、人によっては全く解釈が異なるサムライ像と真っ向から向き合ったストーリーには予想外でありとても驚きました。
下手をすると、日本だけではなく世界中から批判される可能性も考えられるのに、
しっかりとサムライを描ききったのは、この作品の最も評価される部分だと思います。
日本人が思っている以上に、海外ではサムライという存在は人気があり、
尊敬されているのだと思います。
気になった所
気になった所は少ないのですが、中盤にちょっと中だるみが出てきます。
ゲーム自体は長いゲームなのでしょうがないのですが、気になった部分なので記載します。
戦闘が単調
一つは、戦闘が単調になってきます。
剣を使う、弓を撃つ、特殊アイテム(クナイ等)、ステルス等、様々な戦い方はあるのですが、
特に剣を使う部分、チャンバラのところで段々飽きてくる部分があります。
チャンバラに関しては、相手の武器に合わせて、型を変えて戦うのが基本的な戦い方なのですが、
いちいち相手に合わせて変更しなければいけないし、変更に「ボタンを押す」「型を選ぶ」という2つのステップが入ります。
慣れてくれば、すぐに変更出来るのですが、何回も戦っているうちに、段々面倒くさくなってくるし、飽きてきます。
この部分に関しては、Bloodborneの変形武器のようにボタン一つで武器の形を変形し、
相手に合わせた戦い方に変更出来る方がシンプルで良かったのではと思います。
敵の拠点を制圧してもメリットが少ない
ゲームをすすめる中で、いくつか敵の拠点を制圧する事や、敵の集団を殲滅する事があるのですが、
時間をかけて実施しても、その労力に見合うだけの結果を得られる事が少ないです。
最初のうちは、敵を倒すことが楽しいので、あまり気にならなかったのですが、
段々と単調な作業になってきた所で、疲れが出てきます。
それなりの成果が得られるのであれば、問題は無いのですが、僅かな報酬(素材等)の為、
途中から、拠点の制圧はやらなくなりました。
報酬と合わせて、経験値に相当する名声の影響も、作品全体に影響(経済効果、その他優遇等)を与えてくれる事があれば、もっと良かったのでは思います。
絶対に続編を出して欲しい
とても素晴らしい作品だったのですが、それ故に今作だけで終わらせるのは絶対に勿体ないと思います。
絶対に続編を出して欲しいと思います。
個人的に続編に求めるのは以下の内容です(勝手に希望してます)。
・蒙古相手ではなくサムライ相手の熱いチャンバラバトル
・実在の人物の出演
・Skyrimのフォロワーのような、常時一緒に旅ができる仲間(複数人から選べると嬉しい)
・アサシンクリードオデッセイであったような、戦争イベント
・もう少し、美人のヒロイン、キャラクターが出てほしい
こういった希望を書いてしまうのも、本作の完成度が高く、まだまだ遊んでいたいと感じたからだと思います。
この作品をきっかけに、日本を含めて世界中で日本を舞台にしたゲームが出てくれる事を期待します。
そのためには、このゲームを広めて、世界中でヒットして欲しいですね。