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ファイナルファンタジー4 感想

ファイナルファンタジー4(以下FF4)をプレイしたので、感想を書きたいと思います。

FF4については、スーパーファミコン(以下SFC)版を当時プレイした時に、グラフィックやBGMの進化にただただ感動していました。ストーリーは非常にスピーディーに進み、あっという間にクリアした思い出があります。

今回、スマホ版をプレイしてみて、改めて発見できた事がいくつかあるので、書いていきます。

アクティブタイムバトルの偉大さ

やはり、FF4といえばこのアクティブタイムバトル(ATB)が最大のポイントだと思います。

元々、ファミコン時代からのコマンド式のバトルが主流だったのは、リアルタイムの戦いの描写がハードスペック的に再現不可能な為、コマンド式で表現していたと言われています。
SFCにプラットフォームを移した事で、リアルタイムで繰り広げられる戦闘の表現の幅が広がりました。
開発者の人たちが表現したい戦闘の緊迫感が生まれると同時に、より戦略的に戦闘を体感出来るようになります。
特にコマンドバトルでは表現しずらい「素早さ」というステータスがこのATBによって、より重要な数値になると認識させられました。
今までのコマンドバトルでは、1回のターンで1回の攻撃というルールの中で、攻撃する順番にのみ影響を与えていたステータスが、ATBでは更に攻撃回数に影響が出てきます。「素早さ」が高い事でキャラクターそれぞれの時間軸が異なり、攻撃力が低くても攻撃回数を増やす等、より個性的な表現が出来ています。
また、素早さを上げる魔法の「ヘイスト」や逆に下げる為の「スロウ」等の魔法の重要性も顕著に現れており、コマンドバトルでは攻撃力重視の戦略だったのが、ATBでは時間軸も考慮した戦いが重要になり、戦略性がアップすると共に、とてもリアリティのある戦闘が楽しめるようになりました。

このATBをきっかけにファイナルファンタジーというシリーズが独自の進化を遂げるきっかけにもなったと思える素晴らしい発明でした。

BGMの流れるタイミング

FF4のBGMは説明不要なぐらい名曲が多いです。
今回、特に凄いと気がついたのは、BGMが流れるタイミングです。
おそらくFF4以前のゲームは場所とイベント(戦闘開始や場面転換)が中心で音楽が変わっていたと思いますが、FF4では「会話の途中」で音楽が変わります。
セシルとローザの会話の途中で流れる曲や、人との別れの際に曲が変更したり、まるで映画のワンシーンを表現しているかのように、キャラクターの感情を音楽で表現しています。

他にも戦闘が始まってから戦闘の音楽が流れるのでは無く、戦闘が始まる直前の会話中から戦闘の音楽が流れるシーンもありました。このシーンでも会話の時点でキャラクターは戦闘モードに入っている事を表現している上に、とてもプレイヤーのテンションも高い状態で戦闘に入る事が出来ます。

また、音楽自体もキャラクターやプレイヤーの感情が乗りやすいように、ゆったりとしたイントロからメインのメロディーが流れる曲が多かったように感じます。

キャラクターの感情表現までの演出を含めたBGMの流れるタイミングや、楽曲そのものの作り方や美しいメロディーとても考えられた素晴らしい表現だと認識させられました。

キャラクターの感情とステータスについて

FF4から飛躍的にキャラクターに個性が出てきて、良く喋るし、よく動きます。そして、何度もパーティーも入れ替わりながらストーリーが進んで行きます。

今回改めて気がついたのは、キャラクターの感情や状況がキャラクターステータスにも関連させているシーンがいくつかありました。

1つ目は、リディアがファイアを初めは使えないシーン
2つ目は、テラがメテオを使うシーン
3つ目は、エッジが水遁と雷神を使えるようになるシーン
4つ目は、ゲーム開始時にセシルとカインがレベル10な事

基本的にゲーム内での魔法の習得はキャラクターのレベルが上がるとか、魔法書を買って覚えるとかのイメージが先行していたのですが、リディアは開始当初、とある理由でファイアが使えません。
その理由は感情が左右していて、彼女自身のトラウマで使えなくなっています。
最終的にそのトラウマを克服する事でファイアが使えるようになるのですが、プレイヤーとしては、そのイベント以降、ファイアを使う時にリディアの感情も想像しながらプレイする事が出来ます。
ただの魔法の一つだったファイアがリディアの感情を入れる事でこんなにも違うんだと認識させてくれる良いイベントだと思いました。

テラがメテオを使うシーンは特に印象に残っています。テラは元々MPが「90」しかなく、メテオは「99」必要になる為、魔法の一覧には表示されるけど、ずっと使えない状態でした。
ですが、あるイベントでテラは復讐の為に「命をかけて」メテオを唱えます。
ここで、MPが「90」しか無いのに、MP「99」の魔法を使うという伏線が回収されるのに加えて、「命をかける」という事が数値でもわかります。
ただの数値だったMPがどれだけ貴重な物かもわかるし、自分の上限を超える事は「命をかける」にまで値する事なんだという事をイベントと数値を組み合わせる事で表現されています。
このイベントは本当によく出来ていると思うし、それ以降のMPという考え方も色々とプレイヤーが想像出来るようになりました。

エッジが水遁と雷神を使えるようになるイベントも「怒り」の感情表現の中で、自分の限界を超える力を求めた際に使えるようになります。キャラクターの感情をセリフだけの表現では無く、新しい能力を付加する事によって、より表現を高めているのだと思います。
ここから更に進化してFF7のリミットブレイクにもつながったように感じました。

セシルは「赤い翼」の隊長、カインは「竜騎士団」の隊長。
それぞれ戦闘経験豊富な隊長という立場を表現する為、ゲーム開始時にもかかわらずレベルは10となっています。当初ゲーム開始時のレベルは1というのがお決まりみたいな所もあったのですが、ここではちゃんとキャラクターの肩書とステータスがリンクするようにレベル10からのスタートとなります。こういった細かい所にもキャラクターの表現を加えている事はについてとても丁寧に作られていると認識させられました。

まとめ

改めてプレイして感じたのはキャラクターの設定や表現をとても丁寧に表現している作品だと感じました。
キャラクターに対してストーリーを進める為の駒ではなく、プレイヤーに感情をうったえかけるイベントや音楽、そして細かいステータスの表現に関しても全てが繋がるように作られています。
ドット絵という表現の中で最大限の表現を実現しようとしている意気込みが随所に散りばめられています。
また、この作品からファイナルファンタジーが向かうべき方向をハッキリさせたようにも感じました。今まではドラクエや他の作品と同様の「コマンドバトル」という枠組みの中でファイナルファンタジーの色を出していたのですが、ATBをはじめ、数々の表現方法をこの作品から挑戦した事で「ファイナルファンタジーはこういう作品だ!」というクリエイターの強い意志を感じました。

ファミコンではハードウェアの制限で表現出来なかった事を、スーパーファミコンで存分に発揮しようとしたクリエイター達の思いが詰まった素晴らしい作品だと思います。
ここから独自路線で快進撃を続けるファイナルファンタジーの転換期の重要な作品だと再認識出来ました。読んでくださった方も機会があれば是非プレイしてみてください。

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